顧客サービスの要となるコールセンターの運営コストは企業にとって大きな関心事です。しかし、コールセンターの料金体系は複雑で、一概に「いくら」とは言い切れません。
本記事では、コールセンターの料金相場や費用構造、そして料金に影響を与える要因について詳しく解説します。初期費用と運用費用の違い、月額固定型と従量課金型の特徴、業界別の平均費用、さらには内製と外注のコスト比較まで、幅広い観点から分析します。
コールセンターの内製と外注の料金相場・比較
内製と外注によってコストは大きく異なってきます。ここでは、主な各コスト構造と料金相場についてご紹介します。
コールセンターの内製・外注の費用を比較
コールセンターの内製と外注には、かかる費用に大きく差があります。例として、一年間運用した際の料金比較です。
対応件数、対応時間、対応範囲、人員数等、条件によって金額が変動する可能性があります。
内製と外注は、コスト構造にも違いがありますのでご紹介します。
内製にかかる費用の内訳
コールセンターを内製する場合、さまざまな費用が発生します。主な費用の内訳は以下のとおりです。
インフラを整える費用だけでもその規模にはよりますが工事費用が30万円~250万円程の初期費用が必要な上、採用コスト・育成コストなどが必要になります。
外注にかかる費用の内訳
コールセンターを外注する場合、料金体系には「月額固定型」と「従量課金型」の2種類があります。
「月額固定型」と「従量課金型」の違いについては、以下で説明いたします。
コールセンター委託料金の基本構造
コールセンター料金の一般的な基本構造は以下のとおりです。
初期費用と運用費用の違い
コールセンターの料金構造を理解する上で、初期費用と運用費用の違いを把握することが重要です。初期費用には、システム構築費、設備導入費、初期トレーニング費用などが含まれます。これらは一時的な支出であり、コールセンターの立ち上げ時に必要となります。一方、運用費用は月々の人件費、通信費、システム保守費などの継続的な支出を指します。
企業規模によって、これらの費用の適性は異なります。大企業の場合、初期投資を行って自社でコールセンターを構築することが長期的にはコスト効率が良いケースが多いです。
一方、中小企業では初期投資の負担が大きいため、外部委託によって初期費用を抑え、運用費用を中心とした料金体系を選択することが一般的です。
月額固定型と従量課金型の特徴
コールセンターの料金体系には、主に月額固定型と従量課金型があります。月額固定型は、対応件数に関わらず毎月一定額を支払う方式です。特に、安定した問い合わせ数が見込める業種や、季節変動の少ないビジネスに適しているとされています。
一方、従量課金型は対応件数や通話時間に応じて料金が変動する方式です。季節性の高い業種や、問い合わせ数の変動が大きいビジネスに適しています。例えば、eコマース業界やイベント関連業では、繁忙期と閑散期の差が大きいため、従量課金型が適していることが多いです。
コールセンター委託の料金相場
コールセンターの主な料金相場は以下のとおりです。
業界別の平均費用
コールセンターの料金は、業界によって大きく異なります。これは、各業界が抱える顧客からの問い合わせ内容の複雑さ、必要な専門知識のレベル、サービスレベルなどが異なるためです。そのため、業界別の具体的な平均費用を正確に提示することは難しいといえます。以下に目安として、主要業界ごとの平均的な料金相場を示します。
・ 金融業界:月額固定型で1席当たり約40万円〜60万円
・通信業界:従量課金型で1コール当たり約500円〜800円
・小売業界:月額固定型で1席当たり約30万円〜50万円
・医療・健康業界:従量課金型で1分当たり約50円〜80円
これらの数字は一般的な相場であり、具体的な料金は企業の規模や要件によって変動します。
規模による料金の違い
企業規模によっても料金は大きく異なります。大企業の場合、規模が大きいため、1席当たりの単価は比較的低くなる傾向があります。例えば、100席以上の大規模コールセンターでは、1席当たりの月額が20万円〜30万円程度に抑えられることもあります。
一方、中小企業向けの小規模コールセンターでは、1席当たりの単価が高くなりがちです。10席未満の小規模な場合、1席当たり月額50万円〜70万円程度になることも珍しくありません。これは、固定費の影響が大きいためです。
また、専門性の高い業務や24時間対応が必要な場合は、規模に関わらず料金が上昇する傾向にあります。
料金に影響を与える主な要因
コールセンター料金に影響を与える主な要因には以下の要素が挙げられます。
人員体制
コールセンターの料金に大きな影響を与える要因の一つが人員体制です。オペレーターの数や管理者の配置によって、コストは大きく変動します。例えば、高度な知識や経験を要する業務では、熟練オペレーターが必要となり、人件費が高くなります。また、管理者やスーパーバイザーの数も重要で、これらの人員を多く配置すればするほど、品質管理は向上しますが、同時にコストも上昇します。
一般的に、オペレーター1人当たりの人件費は月額20万円〜30万円程度です。専門性が高い場合はこれ以上になることもあります。管理者の人件費はさらに高くなり、月額30万円〜50万円程度が一般的です。
対応時間・曜日
営業時間や休日対応の有無も料金に大きく影響します。平日の9時から17時までの標準的な営業時間であれば、比較的低コストで運用できます。しかし、夜間や休日の対応が必要になると、割増賃金や交代制の導入が必要となり、コストが上昇するでしょう。
例えば、24時間365日対応のコールセンターでは、標準的な営業時間のみの場合と比べて、1.5倍から2倍程度のコスト増加が見込まれます。これは人件費の増加だけでなく、システムの常時稼働に伴う運用コストの上昇も要因となります。
しかし、人のみの対応では費用が高騰するだけでなく、機会損失のリスクも高まります。これらの課題を解決するために、近年では音声AIの導入が注目されています。音声AIを活用すれば、24時間対応が可能になり、人件費を抑えつつサービス品質を維持できます。
当社では音声AI導入を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
業務要件
業務の複雑さや専門性も料金に大きな影響を与えます。単純な問い合わせ対応や注文受付などの基本的な業務であれば、比較的低コストで運用できます。しかし、技術サポートや金融商品の説明など、高度な知識や判断力が必要な業務では、料金が大幅に上昇するでしょう。
外注と内製のメリット・デメリット
コールセンターの運営方式を選択する際は、コスト面だけでなく、さまざまな要素を考慮する必要があります。
内製のメリット
自社のビジネスに完全にカスタマイズされた対応が可能であり、情報セキュリティの管理が容易であることです。また、長期的には外注よりもコストを抑えられる可能性があります。
内製のデメリット
初期投資が大きく、専門知識やノウハウの蓄積に時間がかかることが挙げられます。
内製化するためのコールセンター構築方法については下記の記事をご覧ください。
外注のメリット
初期投資を抑えられ、専門的なノウハウをすぐに活用できることです。また、繁忙期や緊急時の柔軟な対応が可能です。さらに、最新のトレンドを取り入れたサービスを利用可能なことも大きな利点です。例えば、電話口だけでなく画面表示機能も活用することができれば、テレアポの効果を高めたり、ブランディングを強化したりできます。
外注のデメリット
自社の業務に完全に適合させることが難しい場合があることや、長期的にはコストが高くなる可能性があることが挙げられます。
まとめ
コールセンターの料金は、初期費用と運用費用、課金方式、業界、規模、人員体制、対応時間、業務要件など、多くの要因によって決定されます。企業は自社のニーズと予算に合わせて、最適な運営方式と料金プランの選択が重要です。
内製と外注のどちらを選択するかは、長期的な戦略と短期的な必要性のバランスを考慮して決定する必要があります。特に、「見えるコールセンター」のような最新技術を活用したサービスは、顧客獲得やブランディングに大きな効果をもたらす可能性があります。コールセンターの効果的な運用は、単なるコスト削減だけでなく、顧客満足度の向上や売上増加にもつながります。自社に最適なコールセンターのあり方を探るために、専門家に相談することをおすすめします。
詳細については、当社のサービスをご覧ください。